【ふるさと納税の限度額】シミュレーションはNG!?正確に計算する方法をご紹介
ふるさと納税の限度額をシミュレーションしてみたものの、結果が合わずに困った経験はありませんか?
特に「住宅ローン控除」や「医療費控除」などが発生する場合、計算が複雑になるため、シミュレーションごとの限度額が合わない事態が多発しています。
「ふるさと納税の限度額って何?」
「源泉徴収票がない場合でも限度額を計算できるの?」
「ふるさと納税の限度額ってどう計算するの?」
「ふるさと納税の寄付可能額と控除額の違いは何?」
「住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際の注意点は?」
さらに、源泉徴収票がまだ手元にない場合、どの情報を使って計算すれば良いのか迷うこともあるでしょう。
本記事では、簡易シミュレーションではなく、正確な限度額を自分で計算する方法を解説します。
ふるさと納税の限度額とは?
ふるさと納税の限度額は、所得税や住民税の控除を受けられる寄付金の上限額を指します。
この上限を超えた寄付金額については自己負担となるため、計算が重要です。
限度額は、主に以下の要素で決まります。
- 年収(給与所得、事業所得などの合計)
- 社会保険料の額(健康保険や年金など)
- 扶養家族の人数(配偶者控除や扶養控除の適用)
- 医療費控除や住宅ローン控除などの各種控除
- 住民税の控除割合(自治体ごとに異なる場合があります)
源泉徴収票が手元にない場合でも計算可能か?
源泉徴収票がない場合でも、以下の情報を基に限度額を計算できます。
必要な情報
- 年収の概算: 給与明細や年収見込み額を参考にします。ボーナスも含めた総額を計算してください。
- 社会保険料の額: 給与明細の「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」を確認してください。一般的に、年収の約15%が社会保険料に該当します。
- 扶養人数: 配偶者や子どもがいる場合、それぞれ扶養控除の対象になるか確認してください。
- 各種控除(医療費控除、住宅ローン控除など): 控除が適用される場合、その金額を計算に含めます。
正確な限度額を計算する手順
正確な限度額を計算するには、以下のステップを踏みます。
ステップ1:課税標準総所得を求める
課税標準総所得を求めるには、まず給与所得控除を計算し、社会保険料や各種控除を差し引きます。
以下の手順で進めましょう。
給与所得控除の計算方法
給与所得控除は、年収に応じて段階的に設定されています。
以下は国税庁が定める給与所得控除額の目安です。
年収 | 給与所得控除額 |
---|---|
162.5万円以下 | 55万円 |
162.5万円超~180万円 | 年収×40% – 10万円 |
180万円超~360万円 | 年収×30% + 8万円 |
360万円超~660万円 | 年収×20% + 44万円 |
660万円超~850万円 | 年収×10% + 110万円 |
850万円超 | 一律195万円 |
例: 年収500万円の場合
500万円 × 20% + 44万円 = 124万円
給与所得控除後の金額に、社会保険料や医療費控除、住宅ローン控除、小規模企業共済控除、生命保険料控除などを差し引いて課税標準総所得を求めます。
課税標準総所得 = 年収 – 給与所得控除 – 社会保険料 – 医療費控除 – 小規模企業共済控除 – 生命保険料控除 – 扶養控除 – 配偶者控除 – 基礎控除など
- 社会保険料:年収の約15%を目安に計算。
- 小規模企業共済控除:加入状況に応じた実額。
これで課税標準総所得が算出され、次のステップに進む準備が整います。
ステップ2:復興税率を考慮
課税標準総所得に対して復興税率(0.315%)を加味します。
復興税率加味後の課税標準総所得 = 課税標準総所得 × 1.00315
ステップ3:税控除前所得割額を計算
復興税率を加味した課税標準総所得を基に、税控除前所得割額を計算します。
税控除前所得割額 = 復興税率加味後の課税標準総所得 × 10%
ステップ4: ふるさと納税限度額を算出
ふるさと納税の限度額は、税控除前所得割額の20%で計算されます。
限度額の計算式
ふるさと納税限度額=税控除前所得割額×20%
この計算は寄付可能額の上限を示し、そこから控除される金額に2000円の自己負担額が引かれます。
控除額の計算式
ふるさと納税では、実際に控除される金額は寄付額から2000円を差し引いた額です。
控除額=寄付額ー2000円
例:寄付可能額が50,000円の場合
- 寄付額:50,000円
- 自己負担額:2,000円
- 控除額:50,000円 – 2,000円 = 48,000円
ふるさと納税限度額は税控除前所得割額の20%で計算されますが、控除額が寄付額から2000円少なくなる点を考慮してください。
ステップ5:住宅ローン控除との比較
ふるさと納税を行う場合、以下の計算式を使って、税控除前所得割額からふるさと納税限度額を引いた金額が、住宅借入金等特別控除可能額を超えないか確認します。
税控除前所得割額 – ふるさと納税限度額 > 住宅借入金等特別控除可能額 – 厳選された住宅借入金等控除額
なぜこの確認が必要なのか?
住宅ローン控除とふるさと納税の控除は、どちらも住民税の控除枠を共有しています。
そのため、控除可能額を超えると、一部の控除が適用されない可能性があります。
控除枠がオーバーした場合の対処法
控除枠を超えている場合は、ふるさと納税の寄付額を減らすことで調整してください。
これにより、住宅ローン控除が優先的に適用され、控除枠内で最適な控除を受けることができます。
この確認を行うことで、住宅ローン控除とふるさと納税の両方をバランスよく活用できます。
具体例で理解する
例1:年収500万円、独身、医療費控除12万円適用(医療費総額22万円)の場合
- 年収:500万円
- 給与所得控除:124万円
- 社会保険料:75万円(年収の15%と仮定)
- 医療費控除:12万円(医療費22万円 – 基礎控除額10万円)
- 課税標準総所得:500万円 – 124万円 – 75万円 – 12万円 = 289万円
- 復興税率加味後の課税標準総所得:289万円 × 1.00315 = 約290万円
- 税控除前所得割額:290万円 × 10% = 約29万円
- ふるさと納税限度額:29万円 × 20% = 約5.8万円
例2:年収800万円、3歳の子どもと配偶者(専業主婦)、医療費控除30万円、住宅ローン控除可能額30万円の場合
- 年収:800万円
- 給与所得控除:190万円
- 基礎控除:43万円
- 社会保険料:120万円(年収の15%と仮定)
- 配偶者控除:33万円
- 扶養控除(子ども1人分):0円
- 医療費控除:30万円
- 課税標準総所得:800万円 – 190万円 – 120万円 – 43万円 – 33万円 – 30万円 = 384万円
- 復興税率加味後の課税標準総所得:464万円 × 1.00315 = 約385万円
- 税控除前所得割額:385万円 × 10% = 約38.5万円
- ふるさと納税限度額:38.5万円 × 20% = 約7.7万円
住宅ローン控除を加味すると:
控除可能額:30万円
税控除前所得割額 – ふるさと納税限度額 = 38.5万円 – 7.7万円 = 約30.8万円
この金額が住宅ローン控除の枠内で収まるため、全額控除が可能です。
よくある間違いと注意点
- 復興税率を忘れる
→ 住民税に対して復興税率(0.315%)が加算されるため、正確な計算が必要です。 - 住宅ローン控除と併用する際のミス
→ ワンストップ特例制度は住宅ローン控除と医療費控除を併用する場合には利用できないため、確定申告が必要です。 - 収入だけで計算してしまう
→ 社会保険料や各種控除を考慮しないと限度額が大幅にズレます。
まとめ
ふるさと納税の限度額を正確に把握するには、給与所得控除後の金額や社会保険料、医療費控除、住宅ローン控除などを考慮する必要があります。
また、復興税率や住宅ローン控除との兼ね合いも重要です。
本記事の計算手順を参考に、自分に合った限度額を把握し、ふるさと納税を賢く活用してください!
<参考記事>